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日本特有のスーツの“斜め45度”の真相

言われると気になる玉縁の話。熱男ならば細かいディテールにまでこだわってスーツを選びたいところ

スーツのポケットのフラップのところ、ちょっと見てください。フラップの上部に5ミリぐらいの細長い縁取り部分があります。これを「玉縁(たまぶち)」と言います。この部分には当然スーツの表生地を使うのですが、ポケットにモノを入れる(ホントはポケットにはモノを入れないことが望ましいのですが……)など強度が掛かる部分でもあるので、生地使いの角度を変えて耐久性をとることが多いです。

無地のスーツだと分かりにくいですが、ストライプなど柄生地の場合はよく分かります。この部分を表見頃に対して90度真横に使うのは、欧米の仕立屋では一般的な仕様です。縞柄が横に入る使い方はしないので、ストライプスーツでも玉縁は無地になっていることでしょう。

しかしながら日本には、この部分を斜め45度に使うスーツが多々あります。ねじれたり引っ張られたりする箇所のため、耐久性という意味では45度のバイアス使いは正しい選択なのですが、見た目にここだけ斜めストライプなのは、なんだか不思議な光景です。

いつの頃からこのような使い方になっているのは分かりかねますが、デザインとして誰かが始めたのならともかく、大量生産のスーツにもよく見られる仕様なので効率を重視した結果かもしれません。90度真横使いをするために縞の位置を決めるのは、効率が落ちますから。海外では玉縁が斜めになっていると、不思議な顔をされますよ。

イタリアのテーラーでは、この玉縁部分の柄を縦縞使いにして身頃ときっちりあわせてくる職人もいます。かなり高度なテクニックなのですが強度的には疑問符です。ポケットに、モノを入れなければいいだけの話なのですが。 (撮影:石井幸久)

このページは2015年09月25日時点の情報です

メンズファッション

池田 保行

メンズファッション誌で活躍するライターがスーツの基本から応用までお伝えします。

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