連載
僕らの90年代 #001:ヴィンテージデニム

日本人が育てたヴィンテージデニムは今――。東南アジアで弾む90’sカルチャー

90年代リバイバルと言われる昨今だが、海外のファッション業界で起きている現象を見るにつけ「これって90年代の日本で流行っていたことじゃない?」ということが増えてきている。ニューヨークの「Supreme」に行列している風景、“Made in USA”を謳うアメリカのブランド、世間を賑わすコラボスニーカーなどなど。そう考えると、あのころの僕らは間違いなく世界の最先端を走っていたのだ。では、90年代の日本で流行ったものは今、世界的にどんな評価を受け、どんな相場になっているのだろうか?

 

連載第1回目はヴィンテージデニムの最前線を取材。日本のヴィンテージデニムの牽引役である、原宿の伝説的ショップ「ベルベルジン」に向かった。

 

撮影:高瀬竜弥 文:富山英三郎 取材協力:Ber Ber Jin

 

Ber Ber Jin

ベルベルジン

Ber Ber Jin

1998年、原宿とんちゃん通りにオープン。ヴィンテージデニムを中心としたアメリカ古着を展開し、現在ではアイテム別に都内に3店舗を構える日本のヴィンテージウェアシーンの牽引役である。2018年3月に20周年を迎え、今でも毎月のようにアメリカへ買い付けに行き、その影響力は日本に留まらず世界でも名の知られた存在である。

画像:「ベルベルジン」店長・藤原裕

原宿の伝説的古着店「ベルベルジン」の店主・藤原裕。メディアにも度々登場するヴィンテージシーンの第一人者だ

 

 

■「激レア」「限定」「即ゲット」の文字が躍った90年代

 

1990年代半ばに思春期を過ごしていた人であれば、「501XX」「G-SHOCK」のイルカ・クジラモデル、「エアマックス’95」、中古の「ロレックス・エクスプローラー」といった単語につい反応してしまうだろう。

 

まだインターネットが発達していなかった時代、『Boon』(祥伝社/1986年創刊)や『COOL TRANS』(ワニブックス/1995年創刊)などストリート誌が乱立し、毎号のようにそれらの製品が誌面を飾っていた。とくにヴィンテージデニムに関しては、歴史や年代の見分け方などマニアックな情報があふれかえっていたのだ。

 

その後、90年代後半にブームは去ってしまったが、日本の90sカルチャーが掘り起こした歴史の産物は世界中に大きな影響を与えることになる。ここでは、ブームの最中から現在までヴィンテージデニムのシーンをリードし続けている「ベルベルジン」の店主・藤原裕に話を聞いた。

 

「ヴィンテージデニムのブームは、95~97年がピークですね。その時期の古着屋は相当儲かったみたいです。でも、ベルベルジンは98年オープンなので、一番いいときからは遅れているんですよ。そこからブームの終焉とともに古着屋も減っていきました。

 

しかし、近年は若い子を中心に古着人気が再燃しています。歴史的に貴重なものを探すというよりも、自分だけのお気に入りを適正価格で楽しむという子が多いですけどね」

 

画像:「激レア」「限定」「即ゲット」の文字が躍った90年代

2015年に刊行された『THE 501®︎XX A COLLECTION OF VINTAGE JEANS』。「501XX」の教科書的一冊で藤原裕の監修をもとに制作された

 

 

■価格は正常値に戻り、歴史的に古いものから高額に

 

日本におけるヴィンテージデニムの礎を作ったのは、80年代前半に原宿に誕生した古着店「フェイクα」や「バナナボート」だった。彼らはまだその価値が広く知られる以前に、デッドストックのデニムを中心とした品揃えを誇っていた。

 

当時、世の中は徐々にアメカジブームとなっており、感度の高い東京の私立高校生たちを中心にチームを結成。当初はお揃いのスタジャンなどを着ていたが、80年代後半になるとリーバイスの「517」にレッドウイングのエンジニアブーツなど、バイカーの要素が加わったハードなスタイルとなる。のちに“渋カジ”と呼ばれる日本独自の着こなしだ。

 

そこから90年代に入ると、スケート、スノーボード、ヒップホップなどストリート系と呼ばれる横ノリ文化と融合。NIGOとジョニオの店である「NOWHERE」が1993年に生まれたこともあり、流行の発信源は渋谷から裏原宿へと移っていく。そのトレンドが全国にまで広まったのが95~97年なのだ。

 

「雑誌で取り上げられ、芸能人が着てブレイクするという流れですよね。当時に比べてヴィンテージデニムの価格が下がったと言われますが、あのころは高値が過ぎたんです。

 

そして、最近はより歴史的に古いモデルのほうが高額という価値観が定着しました。なので、90年代は、『501XX』のレザーパッチ(1947〜1950年代後半)が80~100万円、バックルバック(1937〜1942年)が120万円前後とあまり差がなかったですが、現在は『501XX』が30~40万円、バックルバックが100万円前後。一部のモデルは当時よりも高値で取引されている状態です」

 

 

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