連載
神々は細部に宿る #002:Makers

使う人を選ばない逸品――万人を惹きつける「Makers」の最強の個性

「良いモノ」とはなんなのだろうか? 長く使えるモノ、今まで見たことがないモノ、コスパの良いモノ、みんなが使っているモノ――。ここで言う良いモノとは、作り手のこだわりが伝わってくるモノだ。

 

こだわりはディテールに現れ、ディテールにこだわって作られたモノは、カッコ良くて美しい。そして、細部を極めることで全体にオーラを纏う。本連載では、そんな作り手たちの細部のこだわりにフォーカスすることこそが、モノの真価を見定めることに不可欠だということをお伝えしたい。

 

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第2回は、手嶋慎が手がけるファッション業界注目の気鋭シューズブランド「Makers(メイカーズ)」を取材。革新的な履き心地、そしてイギリス靴のスタイリッシュさとアメリカ靴がもつ愛嬌を兼ね備えた表情は、アメカジからモードまで服を選ばない不思議な魅力を持つ。

 

撮影:山田英博 文:飯野高広 ディレクション:宇田川雄一

Makers

メイカーズ

Makers

2009年ローンチ。セレクトショップのスタッフや古着店のバイヤーを務めた手嶋慎がその経験を活かして立ち上げた靴ブランド。「何十年先にも、自身の靴が古着店に並ぶに相応しい作品」をコンセプトにシンプルながら印象に残る作風で近年大きな評価を獲得。スタイルを強制することなく履く人の体と心にいつの間にか馴染んでいるような、ありそうでなかったジャパニーズシューの新しいスタイルを提案している。

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■靴の価値を高める意図された経年変化

 

「Makers」の靴が従来の日本の靴と決定的に異なるのは、「履く人それぞれの経年変化」を非常に肯定的に捉えている点ではないだろうか。

 

造り手の「こう履いて欲しい!」というあるべき姿が造形の前面に出るのは、決して悪いことではない。しかし、それが窮屈に感じることも間々ある。対するに「Makers」の靴からは、不思議なほどにその種のしがらみを感じない。履き込んだものを見ると、ブランドとか作られたタイミングとかが良い意味で消え去っていて、「その人の靴」に変化している。

 

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素朴な中にもどことなくすっきりとした印象のプレーントウ。秘密は縫い目の処理にある

 

 

恐らくこれは、ひとつ例を挙げれば羽根の形状などディテールの造形に変なアクセントを付けず、サラっと表現していることが上手く作用しているのだろう。

 

いや、だからこそ、その一方で素材には凝り抜いている。イタリア・インカス社のベビーカーフなどを用いたアッパーや、メキシコ産のオイルソールだけではない。見えない芯材にもソフトなものを用いているので必然的に「履く人の足」になるのだ。

 

 

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