連載
ビジネスマンたちよ、ワイルドサイドを歩け

園子温、サラリーマンだから無理って言うけど野心がないだけだよ Vol.1

人生の岐路で思い悩んでいる30~40代のビジネスマンたちに“追い風”を与える連載企画──今回ご登場いただいたのは、『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』『ヒミズ』『希望の国』……と、性、暴力、震災など、“社会の暗部”に真っ向から斬り込む衝撃作で賛否両論を巻き起こし続ける鬼才映画監督・園子温さん。

 

今年5月に公開された『ひそひそ星』にかける想いから、極端を貫くための“野心の在り方”や“したたかさ”にいたるまで……全3回のインタビューを、『For M』読者にお届けしよう!

 

写真:佐坂和也 文:山田ゴメス

園 子温

映画監督

園 子温

1961年12月愛知県豊川市生まれ。映画監督。17歳で詩人デビューし、「ジーパンをはいた朔太郎」と呼ばれ注目される。1987年自主製作の『男の花道』で「PFFグランプリ」に輝く。以後、『自転車吐息』『自殺サークル』『紀子の食卓』など旺盛に作品を発表し、世界でも高い評価を得ながら、数々の映画賞を受賞する。近作では、東日本大震災の世界を描いた『ヒミズ』(2012年)が大きな話題を呼び、第68回ヴェネチア国際映画祭で主演の染谷将太、二階堂ふみに「マルチェロ・マストロヤンニ」賞をもたらした。同年10月には原発事故に翻弄される家族を描いた作品『希望の国』を公開し、原作小説(タイトル同)も刊行。

 

―――DVDをレンタルし、園子温作品を一晩で一気に2作品鑑賞した。ヘトヘトになってしまった。ヘトヘトになりすぎて、次の日は午前中まで使い物にならなかった。「エグい」「キツい」「どう評価すればいいのか良く分からない」……そんな話を下北沢の某カフェで『For M』の編集者としていたら、すぐ後ろの席に『冷たい熱帯魚』で主演を務めていた俳優・吹越満さんが座っていた。いささかの気まずい“偶然”を経て、我々取材班は園子温監督のアトリエへとインタビューに向かった……。(山田ゴメス)

 

■「こんなの映画じゃない!」と言われることこそが最大のエネルギー

 

ふらっと飲み屋に寄ったとき、奥のほうから「ま、ウチらみたいなさ、筋金入りの映画ファンからすると、園子温って映画的にダメなんだよね……」とか聞こえたりすると、僕はついほくそ笑んでしまいます。「そうこなくっちゃ」「これこそ思うツボ」「よし、明日も頑張って撮影するぞ!」……と、大袈裟な表現をすれば“生きていくエネルギー”を受け取ることができるんです。

 

もしも映画に「文法」があるのなら、そんなものぶっ壊してしまえ。もしもまだわずかに「映画的」なるものが自分に潜んでいるとすれば、それもぶっ壊してしまえ。映画がバレエや歌舞伎や能や日本画のような「伝統芸能」に成り下がったのなら、とっとと捨ててやる──とにかく「こんなの映画じゃない!」と言われることを糧に、僕は今まで映画を撮り続けてきました。

 

今年5月に公開された『ひそひそ星』について言うと、台本は25年ほど前に書いたもので、僕にとっては、ちょうど「原点に戻る」といった意味合い……なのかな? 

 

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この情報は2016年8月3日現在のものです。

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