連載
熱い男たちの金言を聴け!

クレームや問題点は率先して捕まえる。アパレルの最前線で舵をとる男の進化論

ビジネスモデルを180°転換し、今や1100億円企業の社長になった

 

「迷ったことがなかった。ある意味幸せな青春時代を送ってきたんです」と石川康晴は語った。「earth music&ecology」を筆頭としたアパレルブランドや、ファッションレンタルアプリの「メチャカリ」、雑貨ブランドの「Maison de FLEUR」などを展開する「株式会社ストライプインターナショナル」の社長だ。

 

幼い頃からファッションに興味を持ち、14歳のときにアパレルで起業することを志した。その思いは揺らぐことはなく、23歳で故郷・岡山で起業。パンクファッションをメインとした店を開店し、走り出しは好調だった。しかし、より奇抜なもの、より高価なものをセレクトしていくうちに客足は遠のき、ついには従業員から「社長はバカだ」と言われてしまう。

 

これを受け、「奇抜で高級」なパンク路線から一転して、「ベーシックでリーズナブル」なブランドを展開しようというまったく逆の発想で「earth music&ecology」を立ち上げた。

 

思い切った方向転換を迎えた「ストライプインターナショナル」は、順調に成長を続け、創業20年で1100億円を売り上げる大企業となった。

 

幅広い事業を展開し、スピーディに市場を開拓する企業の舵を取る石川康晴の根底にある金言とは?

石川康晴(いしかわ・やすはる)

株式会社ストライプインターナショナル

石川康晴(いしかわ・やすはる)

1970年、岡山県出身。1995年に、「株式会社ストライプインターナショナル」の前身となる「有限会社クロスカンパニー」を設立。1999年には主力ブランドとなる「earth music&ecology」を立ち上げる。国内の事業にとどまらず、アジアにも積極的に出店。アパレル事業だけでなく宅配クリーニングの「BASKET」やアイス販売の「BLOCK natural ice cream」などグループで多彩な事業を展開。2016年には企業家大賞を受賞した。

マイナス情報は自ら拾いに行く。石川康晴の一風変わった成長論

■路線転換をさせていたのは、恐怖心だった

 

「今、流行っているサービスがいつ下火になるのかと思うと恐いんです。だから、私たちは『変わることのリスクよりも、変わらないことのリスク』を問題視しています」

 

インタビュー開始早々、淡々とした口調で事業への恐怖心を語り始めた。今や知らない人のいない巨大アパレルブランドを展開しているにも関わらず恐いと語るのは、石川が23歳で経営者となって以来一貫してアパレル業界に身を置き、トレンドの移り変わりの速さを実感していたからこそだろう。

 

「僕たちはアパレル会社ではなく、ライフスタイル&テクノロジーの会社だと思っています。ファッションだけでなく、食品領域やコスメ領域などの事業にも力を入れています。お客様の困っていることがあれば、解決したいんです。

 

また、僕がほかの経営者とは違うなと感じるのは、異業種の企業を参考にしているところですね」

 

ファッションがメイン事業ではあるが、それだけにとらわれず衣食住に関わるところで、顧客のニーズを探っているという。そうした幅広い事業展開をするために、同業のアパレル企業ばかりを見るのではなく、「L'Oreal」や「P&G」といった異業種のビジネスモデルや事業戦略を参考にしている。

 

■徹底した現場主義から生まれるアウトプットとは

 

東京本部、岡山本社、京都の大学院、全国の店舗、アジアや欧米の視察……と石川は日本と世界を飛び回る生活をしている。移動だけでも膨大な時間だが、石川はむしろこの時間こそ重要だと言う。

 

「新しいサービスを思いつくのってたいてい会社から離れたときなんです。移動の時間はまさしくそう。だから、移動時間は『アウトプットする時間』だと思っています。

 

そうして長い移動時間をかけてでも、地方の店舗など現場に顔を出すようにしています。良いサービスを作るためには、お客様の近くに行くことが一番。極端な話、お客様と同棲するのがベストなんですけどね(笑)」

 

お客様との距離が一番近い店頭に立つスタッフに話しかけけて、従業員やお客様の“モヤモヤ”を聞き出す。こうして聞き出した不満や問題点こそが、成長に不可欠のものだそうだ。

 

「クレームや問題点などのマイナスな情報は待っていてもやってきません。お客様でも社員でもバイトでも、あえて自分から“マイナス情報”を取りに行く。成長していくためには、こうすることが必要なんです。

 

そういう意味では、僕は中間管理職が一番マズいんじゃないかと思う。役員は株主にせっつかれているし、店舗スタッフはお客様と対面しているから、直接的にリアクションを受ける機会が多い。だけど、中間管理職になると株主からもお客様からも距離が一気に遠くなる。彼らが自ら『私の仕事は社員やお客様の問題を解決すること』と言うようになったら、私も良い会社を作れたなと思えます」

 

マイナス情報を手に入れるためにも、店舗視察に加え毎年従業員に向けて「満足度調査」を実施しているという。数千人の従業員から吸い上げた大量の要望を読み通し、次なる策を練っている。年々、「満足度調査」に書かれる内容のボリュームが大きくなっているのは、石川が社員の意見一つひとつに真摯に向き合ってきた証拠だろう。

画像:マイナス情報は這ってでも探せ! 成功の鍵は不満のなかにこそある

ハーバード・ビジネス・スクールを上位5%の成績で卒業した、「ライフネット生命保険」社長・岩瀬大輔

次回は、生命保険会社「ライフネット生命保険」の代表取締役社長の岩瀬大輔が登場する。誰しも一度はテレビで「ライフネット生命保険」のCMソングを耳にしたことがあるだろう。2006年に岩瀬が立ち上げた生命保険商品・サービスをインターネット中心に展開する企業は、今では94億円の売り上げを出す企業へと成長した。生命保険会社の「変革者」として活躍する男が胸に抱く格言とは?

 

イラスト:森宏 文:イワブチマユミ(編集部)

 

 

DATA

株式会社ストライプインターナショナル

設立:1994年6月

本部:東京都中央区銀座4-12-12歌舞伎座タワービル18F

事業内容:ライフスタイル&テクノロジー事業

サービス内容:earth music&ecologyE hyphen world galleryメチャカリ

URL: http://www.stripe-intl.com/

この情報は2016年12月9日現在のものです。

  • 1

TOP