連載
熱い男たちの金言を聴け!

時間は有限、努力は無限。“死”から考える人生の設計図

大学在学中に1万人以上と会い、100の商売を経験した男

祖父の代で立ち上げた会社が父の代を前に倒産し、貧乏な生活を余儀なくされた。会社経営や倒産、その先にある生活への影響と、平尾丈は幼少期から“ビジネス”を肌身に感じ、良くも悪くもそれを強く意識せざるを得ない家庭環境で育った。とりわけ、ビジネスを色濃く意識するようになったのは、大学受験のときにテレビ番組で1つ年上の学生起業家を見てからだった。

 

その学生起業家に憧れ、その人が通うSFC(慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス)に進学するも、現実は平尾が想像していたものとは違っていた。だが、ビジネスへの関心が薄れることはなく、在学中に自身のロールモデルを探すために、経営者から芸能人まで、1万人を超えるあらゆる職種に携わるキーパーソンたちに対面した。

 

さらに、少しでも多くのビジネス経験を積もうと考えた平尾は、傘レンタルやアイスクリーム販売など、“商売”と名のつくものは手当たり次第に実践した。

 

そうした学生時代を経て、「株式会社リクルート」に、「10年にひとりの逸材」という高い評価を受けて就職。今やIT業界のトップランナーとして活躍する平尾は、アントレプレナー(経営者)になるべくしてなったのだ。

株式会社じげん

平尾丈(ひらお・じょう)

株式会社じげん

1982年生まれ、東京都出身。大学在学中に100の商売を経験し、そのうち2つを会社として登記した。大学卒業後は、自身の立ち上げた会社の社長を務めながら、「株式会社リクルート」へ入社。のちに、「株式会社じげん」を立ち上げ、代表取締役社長となる。ライフイベントに特化したプラットフォームを運営する。

机上の空論では終わらせない。経営者・平尾丈のセオリー

■「10年にひとり」と言われた逸材の苦悩

 

「学生時代、内定承諾期限間近に出場したビジネスコンテストで優勝し、その賞金を元手に起業したんです。東京都から起業のための助成金をもらってしまいましたし、自分自身も『起業する!』と言っていたので、そうするほかなかったのです」

 

起業することに強い使命感を持っていた平尾は、「起業家の新入社員」として二足のわらじを履いて社会人生活をスタートさせた。社内では「10年にひとりの逸材」として期待されていたが、ビジネスの現場は思っていたほど簡単なものではなかった。

 

「ビジネススクールの感覚で『リクルート』に入ったのですが、想像以上に成果が出ませんでした。高い期待を寄せられていたので、かえって苦しかったです。だから、人が2倍やるところを、僕は10倍やろうと思いました」

 

平尾の尋常ならざるビジネスへの情熱により、入社2年目の23歳の頃には社内の新規事業の開拓を目的としたビジネスコンテストで優勝。その実力を認められ、会社の出資を受けて「株式会社じげん」の前身となる会社の立ち上げを任せられた。二足のわらじが“三足のわらじ”になった。

 

■限りある人生で自分はどんな足跡を残していくのか

 

「正直に言って、“三足のわらじ”でも器用に履きこなしていたと思います。

 

ですが、父の死によって自分の死生観を問いなおすようになりました。父は53歳で亡くなったのですが、自分と30歳しか変わりません。もし、僕が30年後に死ぬとすると、何ができるのでしょうか。限られた時間のなかで最大の価値を生まなければ、世の中に存在を示すことはできないと思ったのです」

 

平尾にとって、「リクルート」入社前から起業していた自分の会社を手放すことは苦渋の決断であった。だが、限られた人生のなかで、自分が何を残せるのかと考えると、注力すべき対象はかけた時間、世間への影響力ともに一番大きかった「じげん」におのずと絞られたと言う。

 

「在学中に1万人と出会い、気づいたことがありました。課題意識を持っている人は多かったですが、実際その課題に向けて動いている人はほんのひと握りでした。やれ、「あれはおかしい」「こうした方がいい」と言えることができても、そのために行動できなければ意味がないのです。

 

たとえば、火事が起こったとします。そのときに、「火事だ」と叫んで逃げる人がほとんどですよね。なかには、どうしようかと考える人もいるかもしれません。でも、そうやって多くの人が逃げたり考えたりしている間に、少数ではありますがすでに行動に移している人がいるのです。僕は何か課題を見つけたときに、行動している人になりたいんです」

 

1万を超えるさまざまな人たちと会ってきたが、課題解決のために動いている人は圧倒的に起業家に多かった。平尾が起業家を目指した理由も、このことが挙げられるという。

 

かつてコンピューターの祖・アラン・ケイは「世の中を予測するよりも、実現するほうが簡単だ」と語った。課題意識を持っているならば考えているよりも、平尾のように行動に移してしまったほうが、思いのほか上手くいくのかもしれない。

画像:火事の時、二流は声高に叫ぶ。一流は消火しようと考える。超一流はすでに火を消している。

岡山の小さなショップから一大ブランドへと拡大させた起業家

岡山県の1軒のセレクトショップから、全国に展開する一大アパレル企業へと成長した「ストライプインターナショナル」。女優・宮崎あおいを起用し、独特の世界観を作り上げたCMで一躍知名度を上げた「erath music&ecology」を主力とし、「THOM BROWNE. NEW YORK」を買収するなど海外市場の開拓にも力を入れている。次回の金言は、同ブランドのCEOを務める石川康晴が登場。

 

全国への展開のみならず国外への展開や、服の販売ではなくレンタルまで事業を広げる会社のCEOをつき動かす金言とは。

 

イラスト:森宏 文:イワブチマユミ(編集部)

 

 

DATA

株式会社じげん

設立:2006年6月
所在地:東京都新宿区新宿6丁目27番30号 新宿イーストサイドスクエア5階
事業内容:ライフメディアプラットフォーム事業
サービス:「アルバイトEX」「賃貸スモッカ」「中古車EX」など
URL:http://zigexn.co.jp/

この情報は2016年10月22日現在のものです。

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