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熱男式! 着こなしの“王道セオリー”実践講座 vol.8

良質な財布は「コバ」で見分けよ!

美しく磨き上げられれた「コバ」。「コバ」とは縁・切断面を指し、コバ磨きは他の仕上げよりも手間がかかるうえ、熟練工による高い技術が必要とされる

 

 

運気を上げたいなら札を折らない長財布がいいとか、黄色い財布がいいとか、風水的には諸説あるようだが、作りの視点から見たいい財布はこうだ。「コバ」がしっかり磨かれているかどうか。それが財布の良し悪しを簡単に見分けるポイントだ。コバとは財布の縁のこと。そこが丁寧に磨かれていることが良い財布の条件なのだ。

 

お持ちの財布を取り出して見てもらいたい。たいていは表側の革を内側に折り返してミシンのステッチで留めているはずだ。それが“縁返し(へりかえし)”と呼ばれる一般的な仕上げ方法だ。国産の財布の場合は、折り返した角を“菊寄せ”と呼ばれる伝統技法を用いて、細かく丁寧に仕上げているものもある。

 

縁返しされた財布は、見た目も美しく、手間もあまりかからないためお値段もお手頃なものが多い。しかし耐久性という点から見ると、使い込むうちに縁が擦れて破れてしまうため長く使えないのが現実だ。

画像:2枚目

通常の仕上げとは違い、オイルを染み込ませるひと手間をかけて仕上げられた「バブアコードヴァン」の財布は手によく馴染み、使い込むほどに独特の風合いを楽しめる

 

■「コバ」をみれば財布の良し悪しが分かるワケ

一方の“切り目”と呼ばれる仕上げ方法で作られた財布は、手間はかかるが耐久性に優れている。前述したコバを磨いた財布とは、この切り目の財布のことで、良い財布の特徴のひとつなのである。縁返しは縁が擦れてそのうち駄目になるが、切り目は擦れに強いため長く使うことができるのだ。

 

ここで切り目を簡単に説明しておこう。切り目とは財布の縁を縁返さずに裁断した状態のものを指す。作り方はまず表側と内側の革を合わせてミシンをかける。その後、より密着させるために道具を使って強く押しつけるのだ。よく見ると、ミシンステッチに並行して“ネン”と呼ばれる線が入っている。


しかし、このままだと貼り合わせて糸で留めているだけで縁に耐久性は生まれない。切り目仕上げが優れているのは“磨く”という行程だ。後述の「ブルックリン ミュージアム」の場合、「サンドペーパーで磨く→染料を塗る」という行程を三度も繰り返すのだ。たとえ切り目であっても、ブランドによってはフノリやトコノールを使って軽く磨き、アクリル樹脂を塗って手間を省いている場合もあるので要注意だ。コバが塗料で盛り上がっているものは気をつけたい。

 

さて、話を戻そう。磨きと染料を繰り返すことで表側と内側の二枚の革がより一体化して、縁が丈夫になるのである。財布の弱点である縁が強化されるため、結果的に長く使い続けることができるというわけである。

 

そんな切り目の財布にこだわり続けているブランド、ブルックリン ミュージアムを詳しく取材してきた。

倉野 路凡

メンズファッション ガイド

倉野 路凡

学校法人メンズファッション専門学校を卒業後、アパレルメーカーの企画や商品管理を経験し、ファッションライターに。現在はオーダーメイドのスーツやシャツをはじめ、シューズやバッグ、傘、カフリンクス、腕時計など、メンズクロージングを取り巻くモノたちを探求&探究し、わかりやすく提案している。 「boq」」「モノ・マガジン」「メンズクラブ」「グッズプレス」など多数に執筆。

この情報は2016年3月30日現在のものです。

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