美しく磨き上げられれた「コバ」。「コバ」とは縁・切断面を指し、コバ磨きは他の仕上げよりも手間がかかるうえ、熟練工による高い技術が必要とされる
運気を上げたいなら札を折らない長財布がいいとか、黄色い財布がいいとか、風水的には諸説あるようだが、作りの視点から見たいい財布はこうだ。「コバ」がしっかり磨かれているかどうか。それが財布の良し悪しを簡単に見分けるポイントだ。コバとは財布の縁のこと。そこが丁寧に磨かれていることが良い財布の条件なのだ。
お持ちの財布を取り出して見てもらいたい。たいていは表側の革を内側に折り返してミシンのステッチで留めているはずだ。それが“縁返し(へりかえし)”と呼ばれる一般的な仕上げ方法だ。国産の財布の場合は、折り返した角を“菊寄せ”と呼ばれる伝統技法を用いて、細かく丁寧に仕上げているものもある。
縁返しされた財布は、見た目も美しく、手間もあまりかからないためお値段もお手頃なものが多い。しかし耐久性という点から見ると、使い込むうちに縁が擦れて破れてしまうため長く使えないのが現実だ。