連載
名刺を捨てた女 #地球の広報・旅人・エッセイスト たかのてるこ

「私が私に生まれたこと」を謳歌したい!

■再び、「“就職”したのではなかった」ことを思い知る

 

そんな二足のワラジを履いた日々を、「目の前の仕事に追われる日々で、自分の人生について真剣に考えるには忙しすぎた」――そう著書(『純情ヨーロッパ』)にも記しているが、世の大半の人も、忙しさにかまけて、最も考えなければならない「自分の人生」のことを後回しにしているのではないだろうか。

 

だが、たかのてるこは、考えることを余儀なくされた。突然の異動勧告だった。

 

「一生懸命働いてるし、担当番組の視聴率だっていいし、名誉ある賞をいただいたこともあるのに――自分が一体何をしたんだ!? と思って本当に落ち込みました。

 

でも、気づいたんです。私は“就職”したんじゃなくて、“就社”しただけなんだ、会社に勤めている限り、職業(部署)を選ぶ自由はないんだって」

 

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■「会社員・高野照子」改め、「地球の広報・たかのてるこ」の誕生

 

戦力外通告を受けた部署に通う日々は針のむしろだった。そんなときに読んだホスピス専門家の記事が、たかのてるこの心を、脳を、身体を刺激した。

 

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「死の間際、後悔する人はみんな、『もっと自分らしく生きればよかった』『もっと冒険しておけばよかった』と口にするというのだ。

 

なんてこった! 頑張っていろんなことを乗り越えてきたのに、最後の最後の感想がそれ!? 自分の人生に納得できないまま死ぬってどうなの!? ていうか、人の心配してる場合か? このままいけば私も、自分らしく生きられないどころか、ミジメな気分のまま会社に居座り続けて、“死ぬ直前に後悔するコース”になるんだぞ?」(『純情ヨーロッパ』より)

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「マズい!このままじゃ死ねない!って思いました。やっぱり、人生の最期の瞬間には、『あぁ~、楽しかった! やりたいことは全部やって、私が私に生まれたことを謳歌したわ~』と思えるような、晴れやかなフィナーレを迎えたいじゃないですか。後悔しまくりの人生を送って、不完全燃焼で火葬される自分の姿を本気で想像したら、もう本当に嫌すぎて、なんだってやってみるっきゃない!! と思いましたね」

 

そして東日本大震災もまた彼女の背中を後押しし、そして2011年7月、勤続18年3ヵ月と8日で、「会社員・高野照子」は東映を退社。「地球の広報・旅人・エッセイスト たかのてるこ」になったのである。

 

 

≫≫≫会社員時代には想像できなかった「夢の仕事」

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