連載
名刺を捨てた男 #007 レイザーラモンRG 03/04

喜ばれたい一心で身につけた順応力

■観客全員を笑わせる「職業」としてのお笑い

 

「新喜劇に入ったときは苦労しましたね。ずっと王道ではないお笑いをやっていたんで、ベタにボケてベタにツッコむという掛け合いに慣れていなかったんです。ここで初めて「職業」としてのお笑いをやることになりました。

 

それまで僕らがネタを見せていたのは、若い人やマニアの人たち。好きなことをやっていれば笑いが取れたのですが、新喜劇のお客さんは老若男女、全国からいろんな人たちがやって来る。土曜の昼にテレビ放送もしている。

 

その人たちみんなを笑わせなければならない。すごく勉強になりましたね。5年ぐらい在籍しましたが、修行期間だなと思って、余計なことを考えず一心に打ち込んでいました」

 

思えば学生プロレス、個室ビデオ店でのアルバイト、そして新喜劇と、RGさんはそれぞれ違う場にもかかわらず、しっかりと評価を得てきた。言い換えれば、その場に適応していくのが上手いともとれるが、本人もそのことを自覚しているという。

画像:レイザーラモンRG 2枚目

■幼少時代に育んだ新しい環境に順応する力

 

「小学校のときに熊本から愛媛に引っ越したのですが、そのころに環境が変わるってキツイですよね。それで転校を機に今までの内気な自分を変えようと、喧嘩が強いとか足が速いとか、転校先でハッタリをかましてでも目立とうとしたんです。そのおかげで、すぐに馴染むことができました。

 

新しい環境に飛び込んだとき、そこに馴染もうとする努力を惜しまないんです。根本には相手に気に入ってもらう、喜んでもらえるのがうれしいっていうのがあるんですよ。

 

そんな性格を自覚したのが、新喜劇にいたころですね。今度はこの人と仲良くなろうと考えて、話しかけてお茶に誘って、気に入ってもらったり。自分がそういうことができる人間なんだって、気づいたんです」

 

当時、HGさんもRGさんと同じく新喜劇に出演していた。ただし、「レイザーラモン」としてではなく、RGさんは出渕誠さん、HGさんは住谷正樹さん、それぞれ個人として出演していて、コンビとしての活動は皆無だった。

画像:レイザーラモンRG 3枚目

ハードゲイのブレイクと出渕誠の行方

 

RGさんは修行と考えて新喜劇に打ち込んでいたのだが、そんなときにHGさんが「フォーー!」という叫びとともにハードゲイキャラで大ブレイクをした。

 

「コンビの活動はそれほどしていなかったのですが、相方がブレイクして悔しいという思いはなく、素直にうれしかったですね。HGとコンビを組んで間違いなかったなと。一方で、よくテレビで放送できたなとも思いましたね。あのインパクトには、まだ誰も勝てていないと思います」

 

普通は相方がピンで売れると複雑な感情を抱くもの。しかし、そもそもHGさんの素質を見出し、お笑いに誘ったのはRGさんだっただけに、HGさんが世間に認められたのが素直にうれしかったのだろう。そして、ハードゲイがブレイクしたことで、RGさんは再び違うお笑いのステージに上がることになる。

 

要望に応え続けた末に生まれたリアルゲイ

 

HGさんがハードゲイで大ブレイクを果たしたとき、新喜劇に出ていたRGさんに東京のテレビ番組からオファーが来た。ハードゲイ(HG)に対抗して、リアルゲイ(RG)として出演しないかというオファーだ。

 

「ハードゲイにケンカを売るキャラクラーということだったのですが、僕のアイデアではなくて、完全に番組主導のキャラでした。当時は結婚して子どももいたので、とにかくなんでもやってやろうと。

 

空から垂らされたクモの糸に、懸命にすがった感じです。おかげさまでリアルゲイの仕事が増えて、新喜劇に出演する機会はだんだんと減っていきました」

 

ハードゲイに対してリアルゲイ。しかもコンビでお互いがボケという、いろいろな意味での掟破りなキャラクターである。こんなオファーを受け入れたのは、もちろん生活のためということもあったのだが、何より先に語っていた「相手に喜んでもらえるのがうれしい」というRGさんの性格があったからだ。

この情報は2016年4月20日現在のものです。

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