連載
名刺を捨てた男 #006 レイザーラモンHG 02/04

驚異の新人セールスマン、現る

■会社が期待を寄せる新人セールスマン

 

「コープこうべでやっていた仕事は、商品の配送です。当時、新人には夏までに冷蔵庫を4台売る、というノルマがあったんですけど、僕はその倍、8台を売ったんですよ。普通に配達先でカタログを渡して説明しただけだったんですが、おばさまたちには、なぜか人気があったんです。このことで、会社から期待されるようになりましたね」

 

順調な滑り出しを見せた会社員生活だったが、その一方、RGさんの呼びかけでお笑いのオーディションを受け続けていた。平日はトラックで商品を運び、週末には「レイザーラモン」として劇場のオーディションを受けるという、二重生活を続けていたのだ。

 

「平日と週末、現実と非現実を行き来するような生活を続けているうち、だんだんお笑いに惹かれるようになっていきましたね。そんな矢先にアールさんから会社を辞めてお笑いをやろうって誘われたんですよ。

 

迷ったんですが、自分にとってはカリスマでしたし、作るネタも強烈なのが多かったですから、『絶対イケるからお前も辞めろ』と言われて素直に従ったんです」

画像:2枚目

 ■タイムリミットは「30歳」 

 

コープこうべにいたのは、たったの4か月だったが、当時の上司は「夢があるなら」と、HGさんの気持ちを尊重してくれて円満退社。しかし、両親の説得にはさすがに時間がかかったらしい。

 

「1週間かかりましたね。それでも今宮えびすで大賞をもらったんだから大丈夫と説得して、30歳までに芽が出なかったら辞めるという条件で、許してもらったんです」

 

ようやく正式にデビューをした「レイザーラモン」。駆け出しだったにもかかわらず、デビュー前のオーディションを見ていた先輩からお笑いの営業に呼ばれるなど、仕事には困らない状態だった。そして今宮えびすで大賞をもらったことが評価され、デビュー2年目にしてレギュラー番組を獲得する。

 

「初めてのレギュラーが若手芸人発掘系の番組で、僕らのほかにも何人か出ていたんですが、浮いた存在でしたね。頑張っている若手の素の顔、仕事でボロボロに疲れたり、悩んだりしている姿を紹介するのがテーマだったんですが、当時は僕らも元気でしたし、そういう姿を出さずに押し通しちゃったんです」

画像:3枚目

■自分たちに求められているものは何か

 

「当時、野宿しながら3日間歩き通すという企画に出演したんですが、スタッフさん的にはゴールシーンでは疲れて倒れこんでしまう姿が欲しかったんですよ。それなのに僕らは元気よくゴールしたあとに、着ていたTシャツを破くというパフォーマンスをしてしまい、思い切り説教をされたんです。

 

自分たちに求められているものは何か? というのがわかっていなかったんですね。ほかの人たちは、ちゃんとわかっていたというのに」

 

このような空気を読めない行動が続き、初のレギュラー番組は降板。そして、それに追い打ちをかけるように、出演していた劇場での人気も、落ちていってしまった。

この情報は2016年3月18日現在のものです。

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