連載
ビールもいいけど日本酒も、ね

盛夏に、キリリと冷えた冷酒を!「夏酒」という新習慣

文:土田貴史  取材協力:日本酒造組合中央会

 

 

■「真夏に日本酒」は当たり前じゃなかった!?

 

やっぱり「夏酒」である――。

 

と、言葉にして書いてみると、これがなかなか風流に聞こえ、俳句の季語にもありそうな気がしてくるが、じつは真っ赤なウソ。「夏酒」とは、ごく最近の造語である。その昔、保冷庫などなかった江戸時代、冷たくもない日本酒を飲む習慣などなかったのだ。言われてみればそりゃそうなのだが、しかし意外にも、盛夏に日本酒が提案されるようになったのは明治でも昭和でもなく、ごく最近になってからと聞くと、驚きを隠せない。

 

たとえば一度も火入れしていない生酒。生酒とは酵母や酵素がそのまま入っている酒なので、味が変わりやすく、購入後の保管だけでなく、流通時からして要冷蔵。それゆえ火入れした清酒に比べてコストは跳ね上がるが、生酒らしいフレッシュな香りとトロッとしたほのかな甘みは格別であり、最近の日本酒トレンドはこの生酒に傾いている。夏のサッパリとしたつまみに、キリリと冷えた生酒のフレッシュ感は申し分なく合う。

画像:夏酒

また、果実味のある軽やかな酸味を持つ吟醸酒や、シャンパンのような泡立ちの清酒スパークリングも、冷やして飲むほうが美味しく飲める。クーラーが効いた環境下で、夏の日本酒を飲むのは、現代人だからこそ味わえる新習慣だ。

 

そうした飲酒環境の変化に合わせて、夏用の美味しいお酒を作っていこうというのが現在の日本酒業界の一大テーマにもなっている。ちなみに「夏酒」と言っても定義があるわけではなく、

 

【1】夏に冷やして美味しいもの

【2】目にも涼しげで、ラベルも夏っぽいもの

【3】日本酒をベースに、涼感を高めたカクテル

 

こうしたものを慣例的に「夏酒」と呼んでいる。夏に日本酒を飲む伝統がなかったからこそ囚われることのない自由さ、新発想は、年々勢いを増し、まさに現在進行形でさまざまな「夏酒」が造られている。たとえば2018年夏のオススメはこんな銘柄だ。

 

 

■この夏オススメの夏酒4本

 

◆山形正宗 夏ノ純米 純米吟醸酒1.8L

シャープな辛口系を得意とする山形県天童市の蔵元・水戸部酒造の一本。花火をあしらったラベルで、後味がスッと引く、すっきりとした飲み口だ。

画像:山形正宗 夏ノ純米 純米吟醸酒1.8L

DATA

酒造名:水戸部酒造

価格:2700円(税込)

製品サイト:http://www.mitobesake.com

 

 

◆燦然(さんぜん)夏の香り原酒 純米吟醸酒1.8L

昨今、日本酒党からの注目を集めている評判の蔵元・菊池酒造の一本。岡山県倉敷市。派手さで勝負するのではなく、オーセンティックなしっかりとした味わい。

画像:燦然(さんぜん)夏の香り原酒 純米吟醸酒1.8L

DATA

酒造名:菊池酒造

価格:3132円(税込)

製品サイト:http://kikuchishuzo.co.jp

 

 

◆天吹(あまぶき)大吟醸 夏色 大吟醸酒720ml

華やかで、フルーティ、そしてジューシー。佐賀県のお酒は甘さが特徴的だが、この銘柄はそこまで甘みが強くなく、夏にも飲みやすい。キンキンに冷やして飲むのがオススメ。

画像:天吹(あまぶき)大吟醸 夏色 大吟醸酒720ml

DATA

酒造名:天吹酒造

価格:1600円(税込)

製品サイト:https://www.amabuki.co.jp

 

 

◆仙禽(せんきん)純米大吟醸(生酒)720ml

栃木県の酒蔵「せんきん」が醸した加熱処理をしていない生酒。爽やかな酸味が特徴で、リンゴ酸のような味わいは白ワインにも通ずる。カブトムシのラベルも可愛らしく人気がある。

画像:仙禽(せんきん)純米大吟醸(生酒)720ml

DATA

酒造名:せんきん

価格:1600円(税込)

製品サイト:http://www.senkin.co.jp

 

 

■オンザロックや生果汁をプラスしてカクテルに

 

日本酒をベースにしたカクテルもこれがまた、なかなかのオススメ。はじめは、氷を入れるだけのその名も「原酒ロック」(写真下右)。醪(もろみ)を絞ったまま加水していないものを原酒と呼ぶが、このアルコール度数高めの原酒をオンザロックにして氷を溶かし、度数を下げながらゆっくり飲んでいくと、その変化が楽しめる。原酒ならではの香りも開き、アルコールの甘みもしっかりと感じられる。

画像:日本酒をオンザロックにしたり、生果汁をプラスしてカクテルに

次は「サムライ・ロック」(写真上左)。こちらは昔からある飲習慣で、お酒をロックにして、そこにライムジュースを入れる。もちろん生果汁を絞ってもOKだ。混ぜる割合は4:1程度が目安。ライムの瑞々しくフレッシュな香りが立ち、アルコールの臭みを消してくれる。

 

最後は「にごりトニック」(写真上中央)。にごり酒をトニックウォーターとソーダーで割るのが秘訣。トニックウォーターだけだと、甘みが強すぎて、繊細な日本酒の味わいを消してしまう。したがって、トニックウォーターを通常のソーダー(炭酸水)で1:1で割り、さらににごり酒を1:1で入れて軽くステア。フルーツとも相性がよく、パインやいちごなどと合わせるのがいい。

 

さて、夏の暑い夜を涼やかに過ごす日本酒の提案はいかがだっただろうか? ビール、ワインもいいけれど、キリリと冷えた日本酒をくぴっと頬張る満足感は、何物にも代えがたい。大人は、喉越しよりも、芳醇な味わいなのである。そして、いつもの食卓の味がジャンプアップすること、間違いなしなのだ。

 

なお、日本の酒情報館(東京都港区)では、8月17日(金)まで「夏酒フェア」を開催している。先ほど紹介をした、暑い時期に日本酒を爽やかに味わうことができるライムや果実を使用した日本酒カクテルやオンザロックの飲み方など3種類の他にも、夏らしく涼やかなラ ベルの日本酒や、生貯蔵酒などロックにしても楽しめる日本酒を中心に14種類を取りそろえている。

 

【夏酒フェア開催概要】

日時:8月17日(金)まで開催(10:00~18:00/土・日・祝日除く)

場所:日本の酒情報館(東京都港区西新橋1-6-15日本酒造虎ノ門ビル1F)

アクセス:東京メトロ銀座線虎ノ門駅9番出口徒歩3分、都営三田線内幸町駅A4出口徒歩3分ほか

 

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この情報は2018年8月13日現在のものです。

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