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「HIMOJIMOJI」松岡厚志さんインタビュー

発売4ヵ月で3万冊を販売! 書類整理の神ツール『WORKERS’BOX』とは?

世の中に潜在的なニーズがあって、そこにうまくフィットすると製品やサービスはヒットする――言わずもがなかもしれないが、作り手はそうしたニーズをどのように見つけ出して製品化しているのだろうか。発売から4ヵ月で3万冊を販売し、一時は在庫不足になってしまったヒット商品「WORKERS' BOX」。「WORKERS' BOX」の生みの親である「ハイモジモジ」の代表兼プロデューサーの松岡厚志さんに、ニーズの発掘からヒットに至るまでのエピソードを聞いた。

 

撮影:高橋宏樹   文:Tadack(Green House)

松岡厚志

HIMOJIMOJI

松岡厚志

思わず膝をポンと打つ、アイディアあふれるプロダクトを発信するデザイン・ユニット「ハイモジモジ」の代表兼プロデューサー。デザイナーの奥様と二人で2010年にユニットを結成。パソコンのキーボードに立てる伝言メモ『Deng On(デングオン)』やリストバンド型の付箋『LIST-IT』、アウトドア用途に特化した耐水メモ『TAGGED LIFE GEAR』など、紙素材を使った独創的な文房具を中心に展開している。他では見たこともないユニークな各種商品は自社サイト(http://www.hi-mojimoji.com/)で要チェック。

■1万6000リツイートでいきなりのブレイク!

 

会社のデスクには資料が山積み。自宅のリビングにも書類が散乱。いろんなモノがデジタルデバイスに取って代わったものの、いまだ日々の生活から“紙”の書類はなくならない。整理が得意という人であれば、クリアファイルを駆使しているかもしれないが、あれはあれで、自立しないし、たくさんの書類を放り込むと見た目も無様になる。

 

そんな片付けられない悩みを、片付けが苦手なデザイナーがデザインした商品がハイモジモジの『WORKERS’BOX』。なんと、昨年9月に発売以来、わずか4ヵ月で3万冊を販売。片付けが苦手なTwitter民の間で話題を集め、あれよあれよという間にヒット商品となった。

 

「ここまで売れるとは、当初は予想もしていませんでした」と語るのはハイモジモジの代表兼プロデューサーの松岡厚志さん。自分たちが本当に欲しいものを突き詰めて企画した『WORKERS’BOX』をプロモーションするにあたって、松岡氏が選んだ手段はTwitterだった。

 

「商品の魅力がしっかり伝われば買ってくれる人がいると思い、Twitterによくあるヘタウマな4コマ漫画を作ってポストしました。でも、初日のリツイートはゼロ……。デザイナーである妻にわざと下手な漫画を描いてもらったのですが、結果が出ず、ちょっと喧嘩もしましたね。

 

でも、翌日の夕方からリツイートが増えはじめて、気づけば1万6000リツイートに。そこから一気に売れ出して、一時は在庫がなくなり、注文いただいたお客様にご迷惑をかけることになってしまったんです」

画像:HIMOJIMOJI 松岡厚志さん

「自分たちが欲しいものを作って、それを世の中に問うて、それが売れるのが一番」と松岡さん。会社設立8年目、『WORKERS’BOX』のヒットは会社の転機にもなった

 

 

■整理ベタが考えた、ありそうでなかった書類整理ツール

 

『WORKERS’BOX』は書類をクリアファイルごとにザクザク放り込めるドキュメントボックス。A4サイズに対応し、見開きでA3サイズも収納できる。一見すると“ただの箱”であるが、書類を留めておける簡易バインダーを搭載し、名刺や領収書を挟めるポケットも備え、機能面でもアイデアが満載。そして、アメリカ製文房具のようなデザインが従来の書類整理ツールと一線を画している。

 

「世の中にはいろんな書類整理ツールがありますが、“片付けが得意な人向け”のものが多いですよね。細かい仕分けができて機能性には優れているんだけど、片付けが苦手な人には使いこなせない。『WORKERS’BOX』のように、箱にガシガシ入れるだけの、ざっくりと整理できるものはなかったので、そこが世の中のニーズとマッチしたのだと思います」

 

ハイモジモジでは新商品を企画する際、松岡さんと奥様がそれぞれ意見を出し合って進めるというのが通例だ。しかし、『WORKERS’BOX』に関しては松岡さんはあえてノータッチ。片付けが苦手な奥様が、どういったツールであれば自分が整理しやすいか、を追求した結果生まれた形であり、仕様なのだ。

 

「箱型の整理ツールといえば、もう少し大きなサイズのものは存在しています。でも、『WORKERS’BOX』はプロジェクト単位で整理するというのがコンセプトなので、厚さは2cm。A4用紙であれば最大180枚収納できます。このサイズ感も、妻の整理しやすさを優先したもので、万人受けを狙ったものではないんです」

画像:HIMOJIMOJI 松岡厚志さん

商品の1stサンプルを見た時は「ただの箱……。何が良いのか分からない」が松岡さんの正直な感想だった。この日は、ハイモジモジの看板猫“ニーポン”も取材に同席

 

 

実際、『WORKERS’BOX』を使い始めてからは、奥様のデスクもきれいに片付いたというから説得力もある。夫婦二人で運営しているハイモジモジの執務スペースはひとつのテーブルを共有するレイアウト。以前は奥様側のスペースの散らかり具合に嫌気が差し、部屋を分けていたこともあると言う。

 

「自分のスペースにまで妻の資料が侵入してきて、仕事に集中できなくなってしまったんです。思い切って執務スペースを分けて仕事していた時期もあったのですが、ちょっとした雑談をするにもわざわざ部屋を移動しなきゃいけなくなったりして。二人でやっている会社なのにさすがに効率が悪いなぁ、と思っていた頃に『WORKERS’BOX』の試作品ができて。

 

そうしたら、いままで散乱していた書類や商品サンプルが見事に整理整頓されたので驚きましたね。『WORKERS’BOX』のおかげで、事務所内別居が解消されたんです(笑)」

 

 

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