連載
「個性」とは何か?――ジミー桜井インタビュー【最終回】

ロックが“クラシック”になる前に、すべきこと

Photo by Diane Lynn

 

ジミー桜井──伝説のロックバンド「レッド・ツェッペリン」のリードギター、ジミー・ペイジのトリビューターとして「世界的第一人者」の呼び声も高い、日本が誇るトップミュージシャンである。

 

脇目もふらず日々、ジミー・ペイジと向き合い、ただただ“本物の蘇生”だけを志すストイックな“求道者”の目には、はたしてどのような「明日」、そして「未来」が映っているのか?

 

インタビュー最終回となる今回。そのすべてを熱く語り尽くす彼の言葉から、僕ら自身の生き様に対する“なんらかのヒント”も見いだせるに違いない。

 

文:山田ゴメス

 

>>「個性」とは何か?――ジミー桜井インタビュー【前編】はこちら。

>>「個性」とは何か?――ジミー桜井インタビュー【中編】はこちら。

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◆トリビュート=カルチャー。日米に見る音楽観の決定的な違い

 

──現在、ジミーさんは、どれくらいの頻度でライブを行っているのでしょう?

 

ジミー桜井(以下、ジミー):アメリカに渡ってちょうど2年なんですけど、忙しい時期とそうでもない時期があって……。

 

たとえば夏、6月~8月はもう引っ張りダコ状態。平均週3本とか。ただ、ヒマな時期でも毎週末、どこかしらのステージには立っています。年間だと100本くらいはライブをこなしているのかもしれませんね。

 

──アメリカと日本では「トリビュート文化」の捉え方が違ったりするんですか?

 

ジミー:まったくの別物です。アメリカにはカジノが至るところにあります。しかも、カジノホテルはアメリカ人の感覚だと「週末に家族と過ごすスポット」。もちろん、子どもたちはカジノで賭け事をするわけではありませんが、いろんなリゾート施設が充実していて、施設内にはかならずステージがある。

 

そのステージではさまざまなショーが日々催されているのですが、そこで地元のオリジナル・ロックバンドが出演してもそれほどウケません(笑)。

画像:2枚目

ライブでアメリカ各地を飛び回っているジミー桜井。多忙なときはライブ会場から一旦自宅に戻って荷物をまとめ、休む間もなくそのまま次のライブ会場へ移動。2時間だけ仮眠してステージに立つ……そんな過密スケジュールが続くそうだ。帰国しても日本でのステージやメディア対応に追われ、休む暇はない

 

それこそ全国、いや全世界からお客さんが集まるわけだから、カジノのショービジネスはとてもシビア。レベルさえ高ければ、「ローリング・ストーンズ」や「ビートルズ」のトリビュート・バンドの方がキャッチーだし、断然にウケがいいんです。

 

また、僕が拠点としているL.A.あたりは、あちこちに大きな公園があり、そのなかにステージがあって……日本でたとえるなら、日比谷公園内にある「日比谷野音」みたいなイメージかな? そこでは自治体主導のトリビュート・バンドのショーが毎週土曜日19時~20時ごろから開催されます。

 

人気があるのは、やはり圧倒的に70年代、80年代のバンドですね。90年代以降のバンドのトリビュートは仕事にならないので、ほとんどいません。そして、そういうハイレベルなトリビュート・バンドが、いわゆるメジャーなアーティスト、たとえば「レイナード・スキナード」や「サンタナ」とかと同じステージでショーをしているんです。

 

──なぜ、アメリカではトリビュート・バンドがこうも評価されているのか、その理由を教えてください。

 

ジミー:70年代に一世を風靡した伝説のバンドは、すでに「クラシック・ロック」という、れっきとしたひとつのジャンルとして存在し、「そのバンドをトリビュートすること」は単なるコピーではなく、「カルチャー」として解釈されます。

 

だって、モーツァルトを正装して演奏する楽団のことを誰も「コピー」だとは言わないでしょ? なんでロックは「コピー」扱いされなきゃいけないのか?

画像:3枚目

かつてジミー・ペイジが着用していた「ブラック・ドラゴン・スーツ」を忠実に再現。すべて刺繍でできた特注品だそうで、「クルマが買えるくらいの価格かな」とジミー桜井は語る。再現性への徹底的なこだわりはサウンドや楽器のみならず、ステージ衣装にまで行き届いている(Photo by Diane Lynn)

 

それは、たぶん「ロックが生まれて、たかだか50年ほどしか経っていないから」というだけの理由なんです。ご本家の皆さんがまだ現役で活躍されていたりするので……(笑)。

 

しかし、あと50年も経てば、誰もいなくなっちゃう。そのときに、ロックはどこへ行ってしまうのか? MP3でダウンロードしたモノだけを聴いて満足できるのか?

 

そりゃあ、お宝のライブ版も次々と発掘され、今では簡単に入手できる。「YouTube」で観ることだってできます。ただ、それだけだと生演奏でしか表現できない“気”を伝えることは絶対にできない!

 

>>NEXT:日本への“逆輸入”でシーンを変えていく

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