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メンズビューティの是非を問う! 「キールズ」の場合 01/04

35歳の境界線! 未来の自分は「イケてるオヤジ」か「ただのオッサン」か

近ごろ、『For M』編集部宛に男性用化粧品のPRの依頼が増えている。だが、コストをかけ、ビジネスマンの貴重な時間を使ってまでも、男性美容が必要だと読者に納得してもらうのは難しい気がしている。コスメブランドの販路拡大のために男性がターゲットにされているだけではないのだろうか、なぜ現代の男性は美容に力を入れなければならないのか。

 

今回、『For M』編集部は、160年以上も前に調剤薬局として創業し、世界で初めて男性用の化粧品を提供したと言われる「キールズ」を訪れた。

 

前回に続き、女性の筆者が女性目線で感じたことをレポート。今を生きる男性の人生の分岐点「35歳の境界線」とは……。

画像:お話を伺った日本ロレアル株式会社、キールズ事業部の田口沙奈枝さん

▲今回お話を伺った「日本ロレアル株式会社」、キールズ事業部の田口沙奈枝さん

 

 

 

■お店に訪れる男性を楽しませるため

 

なぜメンズスキンケアを扱うようになったのか。その理由はブランドによってまちまちだが、キールズのきっかけは驚くほど明快だ。

 

それは、「パートナーに連れられて訪れた男性客も喜ばせたかったから」だという。

 

創業当時、ニューヨークのイーストビレッジにある第一号店は、コミュニティに根ざした調剤薬局で、近所の男性がふらりとのぞきに来たり、パートナーに連れられて訪れることが多かったという。しかし、店内にあるものは化粧品。男性は一様につまらなそうに暇を持て余していた。そこに目をつけたのが、1960年代にキールズを引き継いだアーロン・モースだ。

 

「たとえ付き添いだったとしても、そこにメンズ用のスキンケアがあれば、男性も自分の肌のことを考えてみるきっかけになる。そんな考えから、『キールズ』のメンズスキンケアは生まれました。どうせなら女性と一緒に楽しんでもらいたいし、男性にも自分の魅力を高める発見やヒントを持ち帰ってもらいたかったのです」

 

とキールズ事業部の田口沙奈枝さんは教えてくれた。そんなきっかけで始まった「キールズ」のメンズスキンケアは、たちまち評判になった。ミスター・ポップアートで知られるアンディ・ウォーホルも愛用者のひとりだったという。

 

「お店の近くにアトリエがあったこともあり、ウォーホルは頻繁に訪れていたと聞いています。そんな付き合いもあり、『キールズ』の店舗にはアート作品がたくさん飾られています。ときには当時のオーナーの趣味である飛行機やランボルギーニまで展示したことも(笑)。こうしたディスプレイの工夫もあって、徐々に男性のお客様にメンズスキンケアが浸透するきっかけになりました」

 

企業として、「ただ売上を伸ばすための施策しかしない」といった一方通行な欲は感じない。調剤薬局発という確かな地盤がありながら、構えず、楽しく、スタイリッシュに美容に取り組めるような気軽さを大切にしている。

 

そんな男心をうまくついた戦略が、アメリカのメンズコスメシェアNo.1という絶対的な地位を築いている要因であることは間違いない。ここには男の“美欲”をかきたて何かがありそうだ。

 

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この情報は2016年8月24日現在のものです。

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