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中年の星、油井亀美也の熱源 01/02

宇宙へ飛んだ“普通のおじさん”、油井亀美也が信じ続けること

2016年2月23日、都内某所で油井亀美也宇宙飛行士による、国内初のミッション報告記者会見が行われた。油井さんは宇宙飛行士でありながら、「中年の星」としてテレビや新聞で注目を浴びた。宇宙飛行士といえば、何でも完璧にこなせるスーパーマンで、手が届かないところにいる人、というイメージが強い。にもかかわらず、身近な憧れの対象として注目されているのはなぜか。その理由は、以下に抜粋した彼のTwitter上のつぶやきから読み取れるだろう。

 

「私もこれまでの人生で、どれだけ多くの事を途中で諦めようとした事か…どれだけ多くの困難から逃げようとした事か…その度に私の周囲にいる人達が、私の気持ちを支えてくれました。物理的な限界に行き着く前に存在する心の限界…これを自分一人で突破するのは難しい事なのかもしれませんね」(2015年4月7日-11:38)

 

「私も自信を失ったり、自分の事が嫌になったりする事があります。皆さんと一緒です。でも、悩む事も必要なのだと思います。46歳にもなって、悩みが多いのも少し頼りなく思われるかもしれませんね。でも、悩みを振り切った時に、もっと大きな人間になれると思いますので、大いに悩みたいと思います」(2016年1月29日-23:03 )

 

と、どこにでもいる中年男性が持つような弱音、本音を自身のTwitterで吐露しているのだ。「中年の星」と呼ばれるのは、これまでの宇宙飛行士と比較して最も距離が近く思える人柄ゆえだろう。だからこそ同世代の男性たちに活力を与えている。

 

今を生きる同世代の男性と油井さんの決定的な違いとは何か。記者会見のなかで、油井さんを宇宙まで導いた“熱源”について単刀直入に質問したところ、その差を知ることができた気がする。1時間の記者会見で『For M』編集部が直接感じたことを、時系列に沿って紹介していく。

画像:2枚目

まず、冒頭の10分間は今回のミッションにおける、油井さんの数多くの功績が紹介された。そのなかでも最も輝いた瞬間は、宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)のロボットアームによる把持の瞬間だろう。アメリカ、ロシアによる、食糧と必要物資を詰めた補給船の打上げ失敗が続き、宇宙飛行士の暮らしに不安が募っていたときに、油井さん、JAXA筑波センターの管制、NASAの管制室で交信役のリーダーを務める若田宇宙飛行士と、各所で日本人が要となった、まさに「チームジャパン」で収めた成功。日本の技術力の高さが改めて世界に知れ渡り、感謝された瞬間だった。

 

日本だけでなく、世界の期待を背負いながらも、確実に任務をこなす油井さんは、やはりスーパーマンなのかもしれない。高鳴る胸の鼓動がおさまりきらないなか、質疑応答の時間となる。

この情報は2016年3月16日現在のものです。

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