連載
Urban Outdoor Catalog vol.36

スタイリストたちが語った、アウトドアシーンから見えてきた “ヒュッゲな未来”

アウトドアシーンで活躍するスタイリスト鼎談第3回は、昨今のトレンドから見えてきた「ファッションの未来」に3名のスタイリストが言及。アウトドアブランドが “街を席巻” するようになった今、シーンはどこに向かうのだろうか。 


「ファッションがつまらなくなった?」「それはもうオヤジになったから?」――ファッションの道を歩み続けてきた先達たちが改めて「ファッション」を考える。

 

 

撮影:吉岡教雄 文:富山英三郎 取材協力:BESSスクエア

 

岡部文彦┃おかべ・ふみひこ

スタイリスト

岡部文彦┃おかべ・ふみひこ

スタイリスト。アウトドア系雑誌を中心に活躍。アウトドアメーカーの企画・商品開発をはじめアドバイジング、農園芸ワークウエア「HARVESTA!」を主宰するなどスタイリストの枠を超え、さまざまな分野で才能の幅を広げている。『GO OUT』(三栄書房)で「SOTOKEN」を連載中。近況は「岡部研究所」を要チェック。

平健一┃たいら・けんいち

スタイリスト

平健一┃たいら・けんいち

スタイリスト。ひと月のうち自宅のベッドよりも寝袋で寝ることが多いというほどの生粋のキャンパー。雑誌から広告、PV、カタログ、アーティストなど幅広く活躍し、フードや空間スタイリングなども手がける。最近はTVなどの出演も多く、Abema TVの「買えるAbema社」にも出演。

佐々木智之┃ささき・ともゆき

スタイリスト

佐々木智之┃ささき・ともゆき

スタイリスト本庄克之に師事後、独立。アウトドア関連の仕事が多く、ファッション誌やカタログを中心に活動している。2018年よりビデオグラファーとしても活動開始。

 

アウトドアブランドも個性が消えつつある?

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――現在のアウトドアファッションのシーンをどう見ていますか?

 

岡部:アウトドアファッションに関しては、2010年ごろから「ARC'TERYX VEILANCE(アークテリクス ヴェイランス)」のような「機能的で未来っぽいウェア」が出始めましたよね。

 

一方、ファッションシーンにおいても「機能性」は世界的なトレンドになっていて、実際にニューヨークではジーンズを履いている人がほとんどいないという話も聞きました。ただのブームならすでに廃れているはずなので、トレンドというよりもすでに根付いた感じの印象ですよね。

 

 

――「nanamica」が展開している「THE NORTH FACE PURPLE LABEL」などは、早くからGORE-TEX®などの機能素材を使った「日常服」を提案していましたよね。

 

岡部:あそこは機能性素材を洋服に落とし込んだのがとても早かったですよね。僕自身もメーカーに対して「より日常的な機能ウェアを作った方がよいのでは?」と言い続けていたんです。その結果として「alk phenix(アルクフェニックス)」ができたんですよね。

 

でも、ここ数年はどのメーカーも似たようなコンセプトの商品を発表していますよね。それは「アスレジャー」(※1)の影響も大きかったと思います。その先に、アウトドアブランドの機能性を駆使した街でも馴染む快適ウェアがあった。

 

平:「アスレジャー」の前には「ノームコア」(※2)というのもありましたけど、そのシーンに関しても「nanamica」は早かったですよね。あそこは本当にうまい。

 

佐々木:逆に、最近はどのブランドも似たようなアイテムばかりで、面白みが欠けてきている側面もあります。

 

平:確かにそうだね。

 

 

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佐々木:日本企画や別注品となると、ブランドロゴも含めてすべてを同色にしがち。いわゆるワントーンで見せるというやつです。確かに、その方がタウンユースでは使いやすいんですけどね。

 

岡部:ワントーンといえば「visvim(ヴィズヴィム)」のバックパックがパーツまで同じ色で有名だよね。すごく格好良かった。「nonnative(ノンネイティヴ)」が別注した「Montrail(モントレイル)」のシューズも全部同じ色でまとめていたし、僕自身も以前「Columbia(コロンビア)」に真っ赤なワントーンのトレッキングブーツを作ってもらったことがあるんだよね。派手なハイテクデザインに、ワントーンはコーディネイトで合わせやすくなるから。

 

 

佐々木:そうですね。最近では、フィッシングブランドの「DAIWA(ダイワ)」もタウンユースなデザインのウェアになっています。

 

岡部:そうなんだ。僕は「GOLD WIN(ゴールドウイン)」が気になっている。久しぶりに思わず見入っちゃったブランド。

 

さっき佐々木くんが言っていたように、いろいろなものが出尽くして各社が似通っているなかで、その隙間をついてきた感じがある。

 

平:「GOLD WIN」は首裏に付けられたタグ以外、一切ブランドロゴが入っていないんですよね。あの潔さが高級感を生んでいる気がします。


今後、シーンはどうなっていくのか? という話に戻すと、キャンプやアクティビティとしてのアウトドアは、すでに生活の一部になっていると思うんです。なので、サーフィンのように確立されて続いていきますよ。

 

ただ、ファッションとなると断定できない。もちろん、「L.L.Bean(エルエルビーン)」のビーンブーツやトートバッグのように、個性的な定番品は残っていくと思います。日本は定番品が強いですから。そういった意味では、いま流行っているミニマムな機能ウェアも、「ARC'TERYX」のようなオリジネーターしか残らない気がします。

 

 

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※1:アスレチックとレジャーを組み合わせた造語。ジムのエクササイズで着るようなスポーツウェアを取り入れたファッションスタイル。

※2:ノーマルとハードコアを組み合わせた造語。究極の普通という意味であり、平凡でベーシックなファッションスタイルのこと。

 

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