連載
“いい加減”な酒の友 vol.8

#8 焼きうどんは炒めるべからず! 和えると際立つうどんのコシ

●材料と分量

うどん

豚コマ切れ肉または豚バラ50g

キャベツ1〜2枚

たまねぎ 1/4個

ゴマ油おおさじ1

おろしニンニク 1cm

めんつゆ 3倍濃縮おおさじ1〜2

塩・コショウ

削り節

 

●料理工程

【1】

豚肉、キャベツは一口大に切り、タマネギは薄くスライス。鍋に湯(分量外)を沸かし、野菜を入れ、火を止めて30秒で引き上がる。残り湯で、豚肉をサッと洗う

 

【2】

別の鍋に湯を沸かし、冷凍うどんを温め、ザルに上げる

 

【3】

フライパンにゴマ油、ニンニク、【1】の豚肉と野菜を入れ、強火で炒める。めんつゆ、塩・コショウで、少し濃い目に味を調えて火を止め〈2〉のうどんを和える

 

【ひとくちメモ】

焼きうどんは「炒める」のではなく、具と「和える」だけにして麺のエッジを残す。野菜から出た出汁や油などを麺にからめる。削り節などをかけてもいい

 

“いい加減” レシピという理由で和えるわけではない

焼きそばは罪深い。鉄板で焼け焦がしたソースの香ばしいにおい、もうもうと立ち上る煙やじゅうじゅうという刺激的な音にはあらがいがたい……という理由ではない(それはそれで罪深いのだが)。

 

焼きそばの本当の罪深さは、「麺を炒める」という調理法が「麺料理全般に通底する」という誤解を助長しているところにある。その呼称のとおり、「焼きそば」は中華麺の蒸し麺、もしくはゆで置き麺を炒めたもの。ご承知のように中華麺には往々にして、独特の強いコシを生む「かん水」が使われる。小麦粉も強い弾力の出るものが使われていて、炒めても表面の食感がそこなわれにくい。

 

ところがほかの麺だとそうはいかない。とりわけ不幸なのが本日の主役である「焼きうどん」。特に市販のゆで麺などは粘弾性ともに中華麺におよばない上、そもそもうどんの特徴はどちらかというと粘りにある。強火で炒めると、麺の表面が削られたようにささくれだってしまう。おまけに野菜の水分でデンプン質が溶け出し、全体に粘り気が出てきてしまう。

 

昨今、コシの有無について議論されることが増えてきたものの、つるんとした口当たりは間違いなくうどんの魅力のひとつ。なめらかさが魅力の食べ物の表面を荒らしてはならない。セモリナ粉という強い弾力の小麦粉のパスタだって、イタリア人は火から下ろした状態でソースと和える。

 

うどんならばなおさらだ。「炒めることは、傷めること」と心得て、先に火を通しておいた具と油に、火からおろしてパスタのように和えるべし。そうすればうどんのエッジも立ってくる。“いい加減” レシピだから和えるのではない。うどんの良さを活かすためにあえてそうするのだ。

松浦 達也

フードアクティビスト

松浦 達也

編集者。フードアクティビスト。編集、広告の領域問わず企画立案からアウトプットまで気の散る馬場企画代表。「給食系男子(三合)」というユニットなどでの活動。食材の科学、地方論、世代論、漫画。撮影はGRIII/XZ-2/5DmkII。日本BBQ協会公認シニアインストラクター/宮崎牛BBQ部準備委員/マンガ大賞選考員。近著に『大人の肉ドリル』(マガジンハウス)

この情報は2015年9月14日現在のものです。

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