連載

「怒鳴るという行為は私も苦手で……(笑)」

──我々の知るかぎり、島さんが部下を怒鳴っているシーンは、あまり記憶にないのですが……?

 

島耕作:部長時代に一度、部下を怒鳴ったことがありました。

 

当時、私がいたサンライトレコードというレコード会社に所属していたニャッコという歌手を、精神的に追い詰めて潰す狙いで、父親と偽ってつけ回す男がいたんです(※『部長 島耕作』7巻より)

 

ニャッコが悩んでいたので何とかしたいと思っていたのですが、ある日、その男がニャッコに自分から「父親ではない」と告白したそうなんです。

 

その男はサンライトレコードのライバル会社であるソラーレコードの瀬波の依頼でニャッコを攪乱しようとしていた。敵の策略は効果抜群だったにもかかわらず、なぜか突然自ら手を引いたのですが、そこに私の部下の高市千鶴がからんでいまして……。

 

高市君の実家は『高市組』という暴力団なのですが、彼女はなんと組の構成員を使って、ニャッコをつけ回した男と、その男のウラにいたソラーの瀬波の身柄をさらって、暴力で痛めつけ、ビデオカメラの前で「これは自分たちが仕組んだことだ」と告白をさせたのです。

 

そして、私にビデオを見せて高市君は、「ね! これで一件落着。チャンチャンと」なんて言っている。さすがにこのときは声を荒げました。「馬鹿者!!」と。私がここまで感情を露わにしたのは初めてですね。

画像:エピソード2全体

──それはお宝シーンじゃないですか!?

 

島耕作:「叱る」という行為は相手のためを思ってやることなんです。

 

これは、ある高名なカリスマ経営者の方もおっしゃっているのですが、叱るときは感情的に「怒る」のではなく、部下のために、会社のために、命がけで一生懸命に「叱る」わけです。そこには純粋に相手と会社への想いがあるわけです。

 

ただ、私は性格的にあまり激しく人を叱ることはないですね。おかしいと感じたときは、冷静に相手に納得してもらえるように、どこがどういけなかったのかを論理だてて話します。感情を込めて話したほうが、相手の心には響くんでしょうけど、どうもそれが苦手で……(笑)。

 

今まで異性に対して声を荒げたことはないし、当然これからもないと思いますが、高市君の場合は感情的に「怒って」しまったのかもしれません。どんな目的があったにせよ、暴力という反社会的な手段を使うことは許されないのですから。

 

>> 取締役時代の、忘れられない失敗

 

この情報は2015年6月24日現在のものです。

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