“長いもの”に巻かれる悦び

一般的に毛足の短い綿だが、新彊綿は格段に長い。この長さが、シルクのような質感の秘密だ 撮影:石井幸久

新彊綿を使った鎌倉シャツ

会社勤めのビジネスマンにとっては何枚あっても重宝するのが、シンプルな白無地のドレスシャツ。ブルー無地やストライプ柄も全く嫌いではないが、大事なタイミングではやっぱりこれを着てしまうという方、多いのではないだろうか。何を隠そう、私自身がサラリーマン時代そうだった。

一見没個性的な白無地こそ、実は素材感の違いを最も愉しめるシャツでもある。粗めのオックスフォード地の素朴な風合いも捨て難いし、細番手の糸で仕立てられたツルツルの肌触りにもまた、別の魅力が濃密に宿っている。今回ご紹介する「メーカーズシャツ鎌倉」のドレスシャツは後者で、用いているのは毛足の長さが綿の中ではトップクラスと言われる新彊綿(しんきょうめん)だ。

いくつか種類がある中で一番のお勧めは、300番手を4本撚り合わせた最上級グレード。着用する前の段階、すなわち手に取った瞬間、その素材が「綿」であることを忘れてしまう程の、無二の感触。長い繊維がもたらすそのしなやかな手触りは、綿というよりシルクに近い。オーダーメードのシャツでも、これはそう簡単には味わえないぞ! 価格こそいつもの「鎌倉シャツ」の倍するけど、価値は間違いなくそれ以上!

ドレスシャツ ワイドスプレッドカラー(1万290円) 問い合わせ先:メーカーズシャツ鎌倉 TEL03-5449-7647

飯野高広(いいの・たかひろ)」ガイド

1967年東京生まれ。大学卒業後、扱う商品も社風も大変カタい某大手素材メーカーに11年あまり勤務し、2002年に独立。出身がファッション業界でもマスコミ業界でもない、この世界では極めて異色の経歴を持つジャーナリスト。靴だけでなくスーツやコート、傘、それに鞄等メンズの服飾品全般が執筆分野。「身に付けている『人』を引き立たせ、一緒に歳を重ねて行けるモノ」を良品と考え、ユーザー目線で文にするのが特徴。今や伝説の靴雑誌『LAST』では、創刊号から最終の第13号まで一貫して関わった、数少ない執筆者の一人。また、専門学校にて服飾史講座を担当するなど、次世代への啓蒙活動にも関心が高い

forM 【次号予告】
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5月23日(水)更新予定。乞うご期待!

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