壁という概念を取り払うと家はここまで自由になる。
そのことを体現したデザインがスキップフロア。
限られたスペースの都市生活のなかで、空間を最大限に
活用した住まいに見る、豊かさの証とは?
写真:木村利美 文:いとうゆうじ 監修:All About「室内空間・間取り」ガイド 塩野哲也
 |
家をひとつの大きな空間として見立て、壁や部屋という区切りの概念を取り払うと途端に設計の自由度は高まる。その代表が、各階の床の高さを半階ずつずらしたスキップフロア。室内空間・間取りガイドの塩野氏は「もともと傾斜地の家のために生まれたデザインですが、限られた土地のなかで空間を活用しなくてはならない都市型住宅では、広がり感を実現するのに最善の手段」と言う。 |
そのスキップフロアを実際に導入したのが千葉県市川市にある加瀬邸(設計はドゥ・アーキテクツの鹿討直治氏)。コンクリート打ちっ放しのモダンな家を訪れて感じるのは、明るさと開放感。リビングとダイニングが同じ空間にありながらも、別の生活ステージとして成立している。段差が生み出す空間のメリットは同じ空間にいることの安心を感じさせながらも、家族が付かず離れずの間を保てることになるのかもしれない。
| この家のオーナーである加瀬氏がスキップフロアのある家を建てたのには、それなりの理由がある。大のクルマ好きだったがために、念願のフェラーリを手に入れて、愛車を眺めながら生活するという理想があったからである。つまりはフェラーリのために設計された家、といっても過言ではない。 |
 |
「自分のクルマをリビングから眺めながら生活したかったんです」。加瀬氏の心情はクルマ好きなら誰もが理解できるところ。半地下にあるガレージのクルマは愛車であり、ときにコミュニケーションツールとして、リビングで友人とクルマ談義に花を咲かせるというライフスタイルを実現した。さらに「バスルームがガレージと同じフロアにあるので、そこからもクルマを見ることができるんですよ」と加瀬氏は嬉しそうに話す。いつまでも変わらない男ゴコロをスキップフロアは叶えてくれる。
 |
「この家を建てるときのコンセプトは、家をひとつの大きな箱として捉えて、空間を自由にデザインしてほしかった」。加瀬氏の希望は元来の知人でもあったデザイナーの発想を刺激して、この加瀬邸が誕生した。また「スキップフロアはクルマを眺めたり、開放感があるといったメリットだけではなく、リビングやダイニング、それぞれに表情があることに気付かされました」。 |
この家の魅力はそれだけではない。リビングの大きなガラス越しにガーデンを眺めると不思議な一体感を覚える。「リビングとガーデンの床材を同じものにすることで、さらなる開放感が生まれたのです。それに空間がつながっているから、家族のつながりにもいい意味で関係してくれている」。趣味からはじまったスキップフロアのある家は、家族との関係という家としてもっとも重要な機能をもたらしたのだ。
デザインにおける段差は、ときに思いがけない豊かさを与えてくれる。ガイドの塩野氏は「いままでの住宅は“平面”で考えることがほとんどでした。でもスキップフロアは“高さ方向への概念”を持つことで、さらなる開放感と造形美、そして豊かさを実現してくれます。それはデザイン一般において同じことが言えます。その一例ともいえるのが、フランク・ミュラーの時計。コンキスタドールのケースデザインにも高さが見られますよね。フラットなデザインでは表情に欠けるところを段差を取り入れた構造にするだけで、印象がガラリと変わります」と言う。この絶妙な段差こそが、コンキスタドールのさらなる美を高めるポイントなのである。
フランク・ミュラーの特徴ともいえるトノウ・カーベックスをさらに進化させたものがコンキスタドール。スポーティなダイヤルを持ちながらも曲線美が豊かさと品格を感じさせるフォルムは、大人の男の腕元にさり気ない色香と重厚感を添えてくれる。
フランク・ミュラー コンキスタドール
自動巻き/SSケース/SSブレスレット/
126万円