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“麺道楽”の集う店 イメージ
Vol.8 蕎麦の品格と店の環境を両立させた名店
忙しくても、うまいランチをしっかり食べたい。休日なら、のんびり味わいたい。働く男達のために、ラーメン、そば、うどんの麺道楽がランチに使える名店を紹介。
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そばガイド:井上 明
プロフィール


■清澄な空気の中で、石臼碾のそばを楽しむ。

▲食事は、こういう清澄な空気感の中で心ゆくまで楽しみたい

ついこの間、銀座の食堂で食事をしていると、10代後半と思しきカップルが隣に座るやいなや、「この灰ザラ使いますか」と、私の目の前の灰ザラを指さす。カウンター状の席だったので、思わずカップルから遠ざかってしまった。

さて、そばは香りを楽しむものである。ずずっと啜りこむときに、環境に浮遊する空気までターボチャージャーの過給器よろしく思い切り吸い込むのである。ということは、お店は店内の空気まで「ごちそうの一部分」として位置づけなければいけない。と、思うのだ。

さきごろの健康増進法をふまえて、ランチタイムを中心に禁煙となったお店が増えてきた。でもそれは、所詮「いっとき吸わせない」というだけなので、お店の中のヤニ臭さは隠せない(これは、煙草をすっているヒトには感じないから厄介なのだ)。

旨いそばを、思いっきりキレイな空気環境のもとで、心おきなく啜りたい。そんな願いを首都圏でかなえてくれる店は、それほど数多くないだろう。店自体が禁 煙となっていても、ごみごみしたビルの中などにあって、あまりコンディションがよくない場合も、やはり心おきなく啜るというわけにはいかない。

そこで、どうだろう。休日にドライブがてら、空気のきれいな環境で旨いそばランチを楽しむというのは? 家族サービスをかねて、出かけてみるのも一興だと思う。


▲たまには、ドライブがてらに蕎麦を手繰りにいくのもいい

蕎麦の品格とお店の環境、この二つを見事に両立させている名店がある。東京から北西に延びる川越街道の、三芳町の松並木がとぎれるところ。「ぐらの」という風変わりな名前のそば屋は、気持ちよく旨いそばが啜れる店だ。


▲こんな佇まい、リゾートを訪れる気分

その佇まいは、リゾート地の別荘のよう。全然そば屋らしくない。骨太な杉材でしっかりと造り込まれた建造物は、街道の傍らにどっしりと構え、それでいて人を優しく招くかのように微笑んでいる。目を引く存在なのである。

その昔は、ごくフツーの「伝統的なそば屋」だったそうなのだが、石臼を入れて手打ちに切り替えてから大ブレイクしている。訪れたのは日曜日の午後遅くだったが、40席以上ある客席の半分以上が埋っているという人気ぶりだった。


▲働き者の石臼がお出迎え

店内に入るとまず目をひくのがこの石臼だ。お店はガラス張りで仕切られた製粉室を中心に、厨房、吹抜のあるホール、小あがりが配置され、都内の窮屈な店と は比べものにならないほどゆったりとした空間となっている。その中心にある石臼。この臼こそがこの店のコンセプト(というか意気込み)を象徴している存在 なのだ。


▲骨太な小屋組アラワシ。キモチのいい大空間

大テーブルが並ぶホール席は、ゆうに7mはあろうかと思われる吹抜となっている。降り注ぐ陽光、全面禁煙の清澄な空気。気配りを感じさせるサービス。素晴らしい。


▲様子のいいおそば、二代目が手打ちしている

期待をこめて注文したのは石臼挽きのせいろそば(小・500円)だ。ご覽の通り、なかなかの品格。細すぎることなく、啜りながらもそばの味わいをほどよく噛みしめることができる切りベラ23本仕様(一寸が23本に切られた状態→約1.3mm幅)。


▲おそばを、ぐーんとアップしてみる

粉は道産をベースに茨城等をブレンドしているという。本日いただいたそばは、タンパク質のうまみを感じさせる好みの仕上りだった。汁は地域性もあってか少々甘め。厚削りの本枯れ節で、しっかりととったという出汁がよく効いている。


▲甘いものとお蕎麦。あうんですね、これが(^_^)

デザートにそばがきぜんざいを註文してみた。こちらは400円というお値頃。固く練られたそばがきが三つも入っているので、女性など小食な人の昼食には、せいろ小とそばがきぜんざいの組み合わせは悪くないと思う。

この他、メニューには石臼挽きの田舎そば(限定提供)があり、そのいっぽうで親子丼などのご飯モノもある。そば好きのお父さんが、休みの日に家族を連れてきて、全員が大満足できる。そんなハッピーなおそば屋さんなのでありました。


▲遠くからやってきた甲斐がある、期待を抱かせる入り口

東京からのアクセスは、東武東上線のふじみ野駅からタクシー(結構いい値段になると思う)。クルマなら、関越の所沢インターを降りて川越街道を西北へ。土 日だったら、関越の川越で降りて、午前中は川越を見物してから、午後川越街道を上っていき「ぐらの」に立ち寄って、所沢インター経由で東京に戻るという コースも良さそう。

■ぐらの

 埼玉県入間郡大井町大井816-4
 049-264-0337
 営業時間 午前11時〜9時
  但し、 月〜金 午後3時〜午後5時は仕込中
 定休日 火曜日
 www.sobagura.com



“麺道楽”の集う店 バックナンバー
06/30 Vol.13 オープンしたての昭和の名ラーメン店!?
06/23 Vol.12 讃岐出身者が作る本格派讃岐の店
06/16 Vol.11 東京駅近くの小粋な蕎麦屋
06/09 Vol.10 隠れ家的な昭和からの名店
06/02 Vol.9 飯田橋にできた讃岐うどんの実力店
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