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For M トップページ 連載「東京風景、街角の味」
東京風景、街角の味
Vol.14 知性と庶民性が融合した日本料理店
日々変化を遂げる都市、東京。そんな中にあって常に大人の男達をひきつけ、愛されつづける街がある。その街の味を紹介しよう。12月の街は、浅草。

文章:伊藤 章良(All About「大人の食べ歩き」旧ガイド)

個性ある東京の街それぞれにスポットを当て、グルメ系ガイドを中心に食の面からその街の魅力を探っていこうという「東京風景、街角の味」。今月私たちが訪れる街は「恵比寿」。

オールアバウトのお膝元

オールアバウトの本社は(支店があると聞いたことはないけど)恵比寿にある。以前は渋谷方面に少し歩いた明治通 り沿いだったが、先ごろ移転。今は駅から徒歩数分の巨大なビル1階に収まっている。そんな、オールアバウトForM編集部からきた今月のテーマは「恵比寿 知的な街 教養ある街」。

そうか、恵比寿は知的な街なんだ。なんとなくうれしくなった。私的な話で恐縮だが、私が17年前大阪から東京に出てきたとき、一番初めに事務所を構えよう と思った場所が恵比寿。何軒ものビルやマンションを見て回り悩みに悩んで結局は恵比寿に落ち着くことができなかった。そのとき巡った物件のほとんどは今で も存在し、恵比寿を食べ歩く際に懐かしく思い出される。

恵比寿。
いまや完全に東京を代表する食の街である。料理人は恵比寿を目指すといっても過言ではないし、街を見るたび、道を歩くたび、雑誌を開くたび、新しいレスト ランが登場している。進取の運営会社によるオオバコの店と個人経営の珠玉レストランがみごとに共存し、下世話な大手飲食チェーンを上手に排除している。そ う、私にとって食の面でも知性や教養を感じる場所なのだ。

知性と庶民性

恵比寿を語るとき、知性とともに庶民性も忘れてはならない。広尾・代官山・渋谷と三方を囲まれ、ガーデンプレイスという大複合施設を持ちながら、恵比寿は庶民の味もとことん追求する。
まずはラーメン店が実に多い。ラーメンガイドの大崎さんが恵比寿のどの店を紹介されるのかとても楽しみである。また、東口駅前にある「こづち」に代表され る定食屋もたくさんあって、ひとり飯にも事欠かない。私が17年前恵比寿に事務所を置きたいと思った最大の動機のひとつに「こづち」の存在があった。あふ れんばかりの定食メニューやオープンキッチンで楽しそうに働くオジサンオバサンも魅力的だが、なによりいつも温かくてふっくらとしたおいしいご飯を提供す る姿勢は、定食屋の鏡だと思う。

夜になれば、「縄のれん」というモツ焼き立ち飲み店の極みが存在し「バリ鳥」「ウッピー」等、新たな恵比寿立ち飲みブームの原石ともなっている。最近の傾向では「ラ・ティーダ」の成功を後追いしてか八重山諸島を含めた沖縄料理店も増殖。わざわざ下町やガード下を目指さずとも、恵比寿で十分なB級グルメを堪能できるのである。

そして、まさにそんな恵比寿を象徴する、知性と庶民性が融合したような秀逸の料理店が登場した。それが今回ご紹介の日本料理「賛否両論」である。


武蔵小山の焼き鳥屋

話は変わるが、武蔵小山に「とり将」という店があった。「賛否両論」店主のお父さんが営んでいた、いわゆる街場の焼き鳥屋である。ところがお父さんが急逝。当時店主は伊勢丹の正月屋吉兆にて、現「櫻川」の倉橋氏のもとで修業を積んでいたが、急きょ父の店を引き継ぐこととなった。

そんな気鋭の若者が動かす焼き鳥屋を、多くのレストランジャーナリストが見逃すはずはなく、武蔵小山の「とり将」はこぞってマスコミに取り上げられ、オヤ ジの店ながら女性が席の大半を占めるという不思議な現象まで起こった。息子は、父親が起こした店を30年は続けようと決意。常連には自分が学んだ日本料理 もふるまうなどしつつ2004年春30周年を迎え、やっと自分のやりたかった店の開店準備に入った。そして2004年9月、知性と庶民性が交錯する街にふ さわしいネーミングな日本料理「賛否両論」を晴れてオープンしたのだった。

JR恵比寿駅の東口に出て、松屋とびっくり寿司の間の道を行く。すぐに左手にはオールアバウトの本社があるビルが見えるが、わき目も振らずにまっすぐ。途中少々不安になるもとにかくこの道を一直線に進み、飲食店が途切れ完全に住宅街に入ったかなあ・・・と感じた矢先、「賛否両論」は見つかるだろう。

店内は想像したより和食和食していない。ダークブラウンの木の大きなカウンターがドーンと奥まで伸び、反対側の一角には4名強の半個室。この半個室のみ喫 煙可となっている。大ぶりの椅子はとても快適で席間もゆったり。居心地のよさは相当なものだ。なお、予約の電話では、カウンターでは喫煙できないこと、ク レジットカードが使えないことなどがきちんと説明され好印象だったことを付け加えておこう。

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